2018年度のコペンハーゲンファッションサミットを指揮したthe Global Fashion Agendaが、新たな報告書を公開した。
そこに書かれていたのは、サステナビリティーファッションのための7か条という名目で書かれた報告書で、ファッション界を牽引する役員や、CEOなどのトップたちにむけられたものである。今回の主催者であるthe Global Fashion Agendaは、サステナビリティーのフォーラムとしてある非営利の団体である。
今回のこのレポートは、3つの緊急性の高い中心的な活動と、4つの長期的時間を要する生地や労働者の給料見直しなどのの改革含め、全部で7項目から構成されている。それに加えて、問題へのアプローチの方法や提案なども共に掲載されている。これは、このレポートを作る上で、それを数値化してサステナビリティーを計測することへの複雑性や規模についてわかりづらい、変化に乏しいのではないかと嘆く産業会の人々から向けられたフィードバックを元に作成されたものである。
今回のサミットの主催者側のCEOのエバ・クルースは今回のこのプロジェクトの目的について、「今回は、ブランドのCEOたちにより明瞭にその仕方を示すもので、何をすべきかと言う部分にフォーカスしてリポートを行った」と述べ、CEOなど、エグゼクティブたちへの提案という形をとった理由については、「このようなサステナブルな活動は、どんなビジネスを進める上でも、上層部からの指示で行われるものであるから。」と説明している。
以下に今回のサミットで示された7つの改革を示していく。これは、提案の一部に過ぎないが、この7か条を守ることで、サステナビリティ―を各々が維持するための必要条件として提案されている。
緊急性の高い中心的活動
1、 生地や生産に関わるサプライヤーチェーンの製造場所などが追跡可能であること
多数のブランドは、工場地帯を操作し、しばしば、製品の原材料の追跡を困難にさせるサプライヤーを断絶することがある。しかし、例えば、縫製工場、繊維工場などの異なるレベルでのサプライヤーがその垣根を超えて協力を行えば、その不透明性は、解決できるのではないだろうか。また、ファッションブランドは、それらを実現し、透明性を上げるために、サプライヤーのリストを公表すると言う形をとるべきである。
2、 水、エネルギーなどの資源や化学製品の効果的な活用
実際問題、ファッションの生産において、CO2排出や、水資源の無駄使いそして、化学物質による汚染は、重大な問題である。ブランドや、サプライヤーチェーンの人々が協力し、それらの問題や、汚染の数値について調査すべきである。それによって、水などの資源の使用を減らすことや、汚染レベルを抑える事などサプライチェーンが行うこのような効果的な活動の遂行を助けることができるのである。
3、 職場環境の安全や、管理
実際ファッションに関わる多くの活動が、危険な労働環境や職場での差別など、さまざまな種類、形を孕み、労働者に降りかかってくる。しかし、それを解決すべく、企業側は、世界人権宣言に沿う考え方で、職場環境を改善する必要がある。
4つの抜本的改革
4、 再生可能もしくは、持続可能性のある生地を生産に取り入れること
最初の素材選びは、そのブランドの環境への影響力の最大50%を決めると言われる。そこで、それらの企業側は、オーガニックコットンなどの環境的影響の低い素材の利用を増やすことや、持続可能性のあるような新素材の発展に投資を行うべきである。
5、環境への配慮としての長期的に続く可能性のあるサイクルを生み出すこと
現在、世界中にある約73%の服は、ゴミとして廃棄され、わずか15%の服が、リサイクル(もう一度古着として使われる)され、たった1%かそれに満たない服が、新たな服の製造の資源として再利用される。このような再利用できるプロダクトを生み出すためにできることとして、デザインや、製品の開発チームは、永続的で、分解でき、再利用の可能である製品や素材という考えを念頭に置いて、長期的に利用可能な製品を作り出すために、開発を進めるべきである。
6、 より良く、非合法でない労働賃金の支給
2015年に取り上げられたユニクロの労働賃金についてのニュースを覚えているだろうか。ユニクロを展開するファーストリテーリング社の下請け会社の中国にある2つの工場が、2014年7月から11月にかけて労働者への過酷労働と、賃金の支払いについての不正を働いていたというのが明らかになった事件が報道された。その賃金の問題では、それぞれの市で定められていた最低賃金の約4分の1と、3分の2程度しか支給されていなかったというのだ。このように生地を生産するいくつかの国で、不十分で、その地域の最低賃金を下回る賃金での労働がしばしば、起こっているのだ。このような状況を改善すべく、企業側は、サプライヤーたちがその地域の最低賃金などの法に沿った賃金支給を守ることを保証し、彼らサプライヤーをサポートできるような賃金の支給システムを作る努力をするべきである。
7、 新たなる産業の革命
実際にテクノロジー(大量生産のような技術革新など)は、長い間、ファッションという産業の変化や発展の鍵として機能して来た。今後、実際にいくつかの国では、−アディダスの機械化工場の開設など−機械化が、ファッション産業内の生産者の最大で90%近くの仕事を奪うと考えられている。このような状況を踏まえ、企業側(ブランド)は、機械などテクノロジーの発展が、サプライヤーチェーンを通して、労働者にどう影響を与えるかを分析し、そのテクノロジーを実際に施行するときのために検討を行う必要がある。
正直、日本と、ヨーロッパを比べてみてほしい。例えば、グッチでのリアルファーの使用を禁止することや、levi'sでの温室効果ガス削減の話題など、西洋の国々のメガブランドたちは、こぞってサステナビリティーへの道を歩み始めている。しかし、日本でそれをみてみると、某ファストファッション大手や、80年代パリで活躍した大手ブランドたちは、何もアクションを起こさない。正直、5つの指の中で数えることができるほど、大きなマーケットを持つわが国で、このような動きが起きていないのは、果たして何故なのだろうか。地球温暖化や、環境汚染など課題は山積みは我々の国でもひっきりなしに聞くとても大きな問題であるのにもかかわらず。
この記事を読むことによってサステナブルという重要な問題への参考資料になってもらえればと考えている。そして、サステナブルファッション先進国と呼ばれる日が来ることを願うまでだ。
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